「ママ、これ本当なんかな?」
ある日、高校生の娘がスマホを片手に私のもとへやってきました。SNSで見かけた“勉強法”を信じて実践していたものの、どうも効果が感じられない様子。そこで一緒に情報の出どころを調べ直したことが、我が家の“情報リテラシー教育”の始まりでした。
今や、家族の会話の中で「それ、どこ情報?」「他にも調べてみようか?」が合言葉。AIやSNSが当たり前の時代、親子で“情報を見抜く力”を育てる日々の工夫をご紹介します。
便利になった反面、インターネット上にはウソや偏った情報、悪意あるフェイクニュースも溢れているのが現実です。とくに成長途中の子どもたちは、それらの情報を鵜呑みにしたり、間違った使い方をしたりするリスクも高く、親としては不安を感じずにはいられません。
そこで今、注目されているのが「情報リテラシー教育」です。
これは単なる知識のインプットではなく、情報の正しさを見極め、自分の頭で考え、行動できる力を育てることを目的とした、新しい教育のかたちです。
この記事では、そんなAI時代の子育てにおいて欠かせない「情報リテラシー教育」について、親子で一緒に取り組める3つの実践ポイントをご紹介します。
はじめに|なぜ今「情報リテラシー教育」が必要なのか?
AI時代に求められる「判断力」と「選択力」
2025年現在、私たちの生活はAIやSNS、ネットニュースに囲まれています。情報の流れが速く、誰でも発信者になれる時代だからこそ、正しい情報を見極める「判断力」や、自分に必要なものを取捨選択する「選択力」が求められます。
私の娘(高校生)も、ChatGPTで調べた内容をそのままノートに写していたことがありました。よく見ると、その回答には古い情報が混じっていて、本人も後から「信じて損した…」とがっかりしていました。
こうした経験から私たちは話し合い、今では「AIの回答は必ず2つ以上のサイトと照らし合わせて確認する」というルールを決めています。AIを使いこなすには、“使う側のリテラシー”が不可欠なのだと実感した瞬間でした。
親も学ぶべき“情報を見抜く力”
私自身、昭和生まれで情報源は新聞やテレビが当たり前でした。でも今の息子(中2)は、YouTubeやTikTokで情報を集めるのが日課。
先日も「SNSでバズってた医療の話、本当だと思ってた」と言い出し、調べてみたらデマ情報。
「どうして信じたの?」「他の情報も見てみた?」と一緒に話し合うことで、親も子も“情報を疑う目”を養う大切さを痛感しました。
この経験から、私は親こそが情報リテラシーを学ぶ必要があると強く感じました。今では、息子が見た情報について「どう思った?」「他の意見も見てみた?」「出所はどこ?」と、軽い雑談を通して視野を広げるよう心がけています。
情報に「正解」がないからこそ、考えるクセを親子でつけることが大切です。
SNS・生成AI・ニュースリテラシーの重要性
SNSやAIは便利ですが、その裏には“アルゴリズムによる偏り”や“意図的に作られた情報”が存在するリスクもあります。
以下のような場面に、私自身も直面しました:
【実体験1】
娘がTikTokで見つけた「一夜漬けでテスト満点!」という動画を信じて徹夜。結果は散々で、「やっぱり地道な勉強が一番だね」と親子で反省会。
【実体験2】
息子がChatGPTに「日本の歴代首相」を聞いたところ、1人だけ間違った名前が。図書館で調べ直し、「AIも間違うことがある」と納得。
【実体験3】
私自身もSNSの匿名アカウントの“炎上投稿”に惑わされそうになった経験があり、家族で「なぜこういう投稿が拡散されるのか?」を話し合いました。
こうした事例からも分かる通り、親子でニュースリテラシー・SNの仕組み・生成AIの限界を学ぶ機会を持つことが、安心してデジタル社会を生き抜くための鍵です。
まとめ
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AIやSNSが当たり前の時代だからこそ、子どもだけでなく親も「情報の見方」を学ぶことが大切
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AIの答えをそのまま信じるのではなく、“なぜそう答えたのか?”を一緒に考える習慣がリテラシーの第一歩
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正しい情報を見抜く力は、子どもたちの将来を守る“人生の防御力”になる
親子で学べる!おすすめ情報リテラシー教材・ツール3選
子ども向けニュースサイトで「メディアリテラシー」を身につける
「ネットにある情報=すべて正しい」ではない。それを親子で学ぶために、まずはニュースの読み方からスタートしました。
娘が中学生の頃、「Yahoo!きっずニュース」で記事を読む習慣をつけました。高校生になった今でも「NHK for School」の動画を観て時事問題をチェックすることがあります。
私たちが取り入れた習慣:
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毎週日曜に一緒に1つのニュースを読み、「これって事実?意見?」と分類
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記事の中で使われている表現が「感情的」か「中立的」かを見極める練習
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「別のニュースサイトではどう伝えているか?」を比較する
ある日、SNSで話題になっていた芸能ニュースについて「この記事って本当に本人が話してるの?」と娘が疑問を持ったことがきっかけで、“一次情報を確認する”という姿勢が自然と身についたと感じました。
サイト名 | 特徴 | 学べる力 |
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Yahoo!きっずニュース | やさしい言葉で構成されたニュース記事 | 意見と事実の区別、情報選別力 |
NHK for School | 動画+クイズ形式で学べる教育サイト | 思考整理、テーマ別理解 |
ChatGPTを活用した「事実チェック」トレーニング
AIを使えば調べものは簡単。でも、間違っていたらどうする?
そんな疑問から始まったのが、ChatGPTを活用した「情報の裏どりトレーニング」です。
高校生の娘は、レポート課題や探究学習でAIを活用する機会が増えています。たとえば「第一次世界大戦の原因は?」という質問をChatGPTに入力したあと、図書館で借りた本やNHKのウェブ資料と照らし合わせて、正確性を確認するというワークを一緒に行いました。
その結果、娘は「AIは便利だけど、完璧じゃないんだ」と実感し、“使いこなす視点”でAIを見るようになりました。
ChatGPT活用のポイント:
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まず自分で仮説を立てる
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AIの答えを元に、信頼できるソースと比較する
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結論をノートにまとめてアウトプットする
これらを続けることで、「問いの質を高める力」や「情報を精査する目」が育っていると感じます。
ゲーム感覚で楽しく学べる情報リテラシーアプリ
高校生の娘は、スマホが生活の一部。だからこそ、「遊び感覚で学べるツール」を使って、“楽しく身につける”ことを意識しました。
特にお気に入りだったのが「Factitious」と「Bad News Game」。
どちらも“フェイクニュースを見抜く”ことをテーマにしたゲームで、我が家では週末の親子対戦イベントとして活用していました。
アプリ名 | 特徴 | 対象年齢 |
---|---|---|
Factitious | 本物と偽物のニュースを見分けるクイズゲーム | 小6〜高校生以上 |
Bad News Game | フェイクニュースを「発信する側」として学ぶ | 中学生〜社会人向け |
「これは怪しいタイトル!」「このサイト初めて聞いた!」と、娘と意見を交わす時間が増え、自然とメディアを疑う視点が身についていきました。
ゲームで学べる力:
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見出しの印象と内容のギャップに気づく
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ソースの信頼性を確認する癖がつく
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SNS拡散の影響を実感する
こうした体験を通して、「情報に振り回されない自分」でいることの大切さを実感しているようです。
まとめ|親子で“考える習慣”をつくろう
情報リテラシーは、暗記ではなく“日々の積み重ね”が重要なスキルです。
親が教えるというより、一緒に学ぶ・考えるスタンスが子どもにとって大きな支えになります。
私が実感しているポイントは以下のとおりです:
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親がわからないときこそ「一緒に調べよう」の姿勢が効果的
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AIやツールを活用する際も、「どこまで信じるか?」を問いかける
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「話す・考える・比べる」の3ステップで情報を捉える力が育つ
娘が「学校の先生より、ママと一緒に考えるほうが楽しい」と言ってくれた日、親子で情報を見抜く力を育てる時間こそ、最良の教育だと確信しました。
これからの時代、“情報を得る力”より“見極める力”が問われるようになります。
ぜひ、ご家庭でも親子で一緒に情報リテラシー教育を始めてみてください。
家庭でできる!情報リテラシーを育む3つの習慣
情報があふれる今の時代、子どもたちが正しい情報を見分ける力=「情報リテラシー」を身につけることは、将来の安全や学習の質にも直結します。特にスマホやSNSを使う機会が増える中で、家庭の中でできる“毎日の習慣”が重要な土台となります。
我が家でも、高校生の娘がネットやChatGPTを頻繁に使うようになってから、「情報の真偽」や「使い方のルール」について何度も一緒に話し合ってきました。その経験を通じて見えてきた、家庭で取り組める3つの習慣をご紹介します。
情報源を必ずチェックする癖をつける
「それ、どこ情報?」と親子で確認する習慣を作る
高校生の娘が、あるとき「この栄養ドリンクは集中力が3倍になるらしいよ!」と話してきました。調べてみると、出どころはフォロワー数が多い個人のSNS投稿。科学的な根拠はなく、広告の一部に近いものでした。
この出来事をきっかけに、わが家では以下のようなルールを作りました。
チェックポイント | なぜ重要か? |
---|---|
誰が発信している? | 個人か企業か、専門家かを確認するため |
いつの情報か? | 古い情報は現在に合っていない可能性がある |
他のサイトでも同じことを言っているか? | 情報の信ぴょう性を高めるための比較材料 |
娘と一緒に「これは信じていいかな?」と考える時間が、結果として“見抜く力”につながっています。
正解を教えるより、一緒に考える姿勢を大切に
「知らない」と親が言えることが、子どもの学びを深める
子どもに「このニュースって本当?」と聞かれたとき、つい正解を言いたくなりますよね。私も以前はそうでした。でも、ある日娘から「ママが全部教えてくれると、自分で考えなくなる」と言われてハッとしました。
そこで、今はこんな会話を意識しています。
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「うーん、私もよくわからないな。どう思う?」
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「調べてみようか。一緒に見てみよう!」
この“伴走スタイル”に変えたことで、娘自身が「自分の考え」を言葉にするようになりました。「親が全部教えるより、一緒に悩みながら調べる」——それが、AI時代の子育てで一番大切なことだと、我が家の実体験から強く感じています。
家庭という小さな場所から、子どもの一生の“情報を見抜く力”を育てていきましょう。これは、AIでは絶対にできない親子の大きな役割だと思います。
AIやSNSを一緒に使う「共学スタイル」で成長を促す
使いっぱなしではなく、使ったあとが学びのチャンス!
娘が初めてChatGPTを使って英作文の練習をしたとき、「これって使いすぎたらズルなのかな?」と不安そうにしていました。そのとき私が提案したのは、「一緒に使って、どこが良くなったか振り返ってみよう」というワーク。
次のような方法を実践しています。
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一緒にAIの答えを読み上げて、「これは正しい?どこが変?」とディスカッション
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SNSで気になる投稿を見つけたら、「どうしてこういう投稿がバズったのか」を一緒に考える
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成功体験やミスを共有しながら、「じゃあ次はどうする?」を一緒に考える
こうした習慣が、“受け身の使い方”から“主体的な活用”への意識転換につながっていると実感しています。
まとめ|親のちょっとした関わりが、子どもの情報リテラシーを伸ばす
家庭での情報リテラシー教育は、特別な教材や専門知識がなくても始められます。大切なのは、
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「一緒に考える」姿勢
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「間違えても大丈夫」と伝える雰囲気
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「親も勉強中だよ」と言える素直さ
この3つを日常の会話に取り入れること。
高校生になった今でも、娘とChatGPTやSNSの使い方について雑談する時間は、親子の信頼関係を育てる大切な時間です。情報の波に流されない子に育つために、まずは家庭でできる一歩を始めてみませんか?
まとめ|親子で育てる「情報を見抜く力」が未来を守る
SNS、ニュース、AIチャット……子どもたちは、私たちの想像を超えるスピードと量で情報に触れながら育っています。だからこそ今、「情報を見抜く力」=情報リテラシーは、生きる力のひとつとして家庭で育てていく必要があります。
情報の海で迷わないために必要なのは「自分で考える力」
私の娘(現在高校生)は、以前TikTokで見た「英語を1日5分で話せるようになる裏ワザ」という動画を真に受け、毎日そればかり繰り返していました。ところが、実際にはほとんど効果がなく、むしろただの時間の無駄だったのです。
このとき私は初めて、「子どもは情報を信じやすいのだなあ」と感じました。
その後、娘と一緒に「これは誰が言っているの?」「何を根拠にしているの?」と、投稿内容を一緒に検証する習慣を始めたところ、「自分で考える習慣」が少しずつ育っていきました。
家庭こそが「情報リテラシー教育」の一番の教室
学校でも情報モラル教育は進んでいますが、限られた授業時間では実践的な部分まで踏み込むのは難しいのが現状です。
そこで鍵となるのが、家庭内での日常的な関わりです。
家庭で実践できるリテラシー教育 | 効果 |
---|---|
ニュースやSNS投稿を一緒に見て内容を検討する | 情報の裏側を想像する力が育つ |
ChatGPTの答えをそのまま信じず、一緒に他の情報源で確認する | AIに頼りすぎない姿勢が身につく |
「なぜ?」を親が投げかけ、子どもに考えさせる | 論理的思考と疑問を持つ力が伸びる |
「正解を教える」より、「一緒に考える」が最大の教育
ある日、娘がChatGPTに「高校の進路に向いてる学部は?」と質問し、そのまま結果を見て「私は文系にしようかな」と言い始めたことがありました。
私はすぐに「それで決めちゃうの?」とは言わず、「その答え、どうやって出されたと思う?」と問いかけました。
娘は一瞬戸惑いながらも、「他にも調べてみる」と言って、自分の得意科目や将来像を照らし合わせながら情報を見直し始めたのです。
このやり取りを通して感じたのは、「親が答えを出さないことで、子どもは考える力を伸ばす」ということ。
「一緒に考える姿勢」こそ、情報リテラシーの土台になるのです。
正しい情報の選び方は、子どもの「未来を守る力」になる
今後AI技術はさらに進化し、ディープフェイクや偽情報もより巧妙になります。
だからこそ、子ども自身が「自分で調べ、選び、判断できる目」を持つことが、生きる防御力になります。
私の家庭では、「情報に振り回されない心」を育てるために以下の3つを意識しています。
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「なんとなく信じる」より、「なぜそうなのか」を考える時間を作る
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子どもが見た情報を否定せず、「出典」や「背景」に興味を持たせる
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親も完璧じゃないことを認め、「一緒に調べよう」と言える姿勢を見せる
最後に|“一緒に考える親”が、子どもの一生の武器を育てる
AIが家庭にある時代、「ツールは与えた、あとは自分でやって」では子どもは育ちません。
親がそっと隣に立ち、「それって本当に正しいのかな?」と一言添えるだけで、子どもは安心し、深く考えるようになります。
情報社会で生きるこれからの子どもたちにとって、「見抜く力」は何よりも強い武器です。
そしてそれは、家庭という小さな場所で、親子の小さな対話から育まれていくのです。